arrows NX F-02Hに機種変更してまず最初に気になるのが虹彩認証。特に、指紋認証搭載の2年前の機種ARROWS NX F-01Fから乗り換えた私としては、最も期待していたと同時に不安でもあった機能です。
今日は、この虹彩認証について指紋認証との比較もまじえながら、その使用感をレポートします。
虹彩認証とは
arrows NX F-02Hに搭載されている虹彩認証(Iris Passport)。 その説明には
●虹彩とは…
黒目の瞳孔の外側にある環状の部分です。虹彩には皺があり、そのパターンは一人ひとり違うのです。
●虹彩認証「Iris Passport」とは…
虹彩の模様を、指紋のように各人固有の識別情報として登録・照合するセキュリティシステムです。arrows NX F-02H 製品情報(セキュリティ) - スマートフォン - FMWORLD.NET(個人) : 富士通
とあります。
瞳を通しての認証ですが網膜を使っている訳ではなく、瞳孔のまわりの色のついた部分(虹彩)のパターンを使うもの。この虹彩のパターンは1人1人異なり、一卵性双生児でも異なるそうです。また同じ人間の右目と左目の虹彩も異なります。
なお、2つの異なる虹彩が認証上同一のコードになってしまう確率は10の78乗分の1だそうで、気が遠くなるほどの確率の低さです。すごいですね。
尚、arrows NX F-02Hの虹彩認証にかかわる部分は、本体の上部にある2か所です。この部分の関係で内側カメラが本体下部につけられているんでしょうね。
虹彩認証のメリット
私の思いつく虹彩認証の良いところは下記のとおりです。
見つめるだけで瞬時に認証
端末を見つめるだけで一瞬で認証されます。もちろん慣れるまでは時間がかかることもありますが、慣れてしまうと端末を見た瞬間に認証されてロック解除されます。
このスピード感は他の認証方式では味わえないものだと思います。
手が濡れていたり手袋をしていても大丈夫
指紋認証は当然手袋をしていたら出来ませんし、手が濡れていても認証されません。手が少し湿っている程度でもダメです。
この点、虹彩認証は見るだけで認証されるので、例えば、料理中に手が濡れていたり汚れていたりする場合でも、机の上に置いた端末を見つめるだけで認証されるので便利です。
他人が認証されるのは不可能
先にも書きましたが、異なる虹彩が同一コードになってしまう確率は非常に低く、他人の虹彩で間違って認証されることはないといっていいでしょう。
ただ、そこまでの強度のセキュリティが必要かと言われれば疑問で、他の認証方式でも通常のセキュリティが求められる場面では十分でしょうから、私のような普通の人間には特に大きなメリットとも言えないとは思います。
コンディションにほぼ影響されない
例えば目の病気になった時などに認証されるかどうかですが、ものもらい、結膜炎、涙目、目薬をさした状態、花粉症で充血している状態、レーシック手術後などでも問題なく認証されるそうです。
こちらのFAQに詳しいです。
携帯電話(F-02H FAQ一覧) - FMWORLD.NET(個人) : 富士通
眼鏡やコンタクトレンズでも認証はされるので基本的にコンディションを気にする必要はないと言えます。(ただしサングラス、カラーコンタクトでの認証は不可。また眼鏡の反射などは苦手です。)
なんか楽しい
これは最初だけかも知れませんね…。でも見つめるだけでロック解除される様子は購入して10日経っても楽しいです。どうでもいいですね。
虹彩認証のデメリット
虹彩認証にはデメリットもあります。
見つめなければならない
当然ですが端末に目を向けなければなりません。端末を見つめなければいけないということ。
「どうぜスマホを使おうとしているんだから、端末を見つめるのはデメリットにはならないだろう」という声が聞こえてきそうな気もしますが、端末を見ずにロック解除できる指紋認証に慣れた身からすると結構なデメリットなのです。
指紋認証の場合、端末を手に取った瞬間に指をなぞり認証を開始すれば、端末を目の前に持ってきた時には既にロック解除されていて使える状態になっています。これに対して虹彩認証は、端末を目の前に持ってきてロック画面を見つめ、その後認証されてロック解除されるという流れです。些細なことのようですが、この差は大きい。
言い換えれば、指紋認証では慣れてしまえば認証自体を意識しないで使えるけれど、虹彩認証だといつも認証を意識しなければならないという感じでしょうか(ただ、虹彩認証に慣れて認証されやすくなってくると瞬時に認証されるので徐々に変わっていくかも知れません)。
また、虹彩認証は歩きながらの認証は難しいです。認証される位置に目を持っていかなければならないので身体が振動している状態では認証は困難。立ち止るしかありません。もちろん、歩きスマホはダメなのですけどね。
屋外での認証が苦手
明るい直射日光が当たっているような場所では、虹彩の読み取りが難しいらしく認証されづらいです。ピーカンだとほぼ不可能かもしれないです。
眼鏡の反射があると認証されづらい
眼鏡をかけていても虹彩認証はされます。ただ、眼鏡に蛍光灯の光が反射しているなどの場合は認識率が大幅に下がります。その場合は光が映り込まない角度に向きを変えるか、眼鏡を外すしかありません。
私は眼鏡をかけていますが、これはちょっと面倒に感じます。
認証画面が気持ち悪い(改善策あり)
【虹彩認証の画面の写真】
初期設定では虹彩認証画面には、モノクロの自分の目、顔が映し出されます。どこに目を合わせれば良いのかわかりやすいのですが、認証するたびに自分の顔を見るのは気持ち悪い(笑)。誰かに見られているんじゃないかと思うとちょっとビクビクです(自意識過剰?)
下の画像には、本当なら顔が映る部分に絵を加えています。私の顔をそのまま映すのはこっぱずかしいので。いい加減な絵で恐縮です。本当はモノクロのリアルタイムな自分の顔が映ります。
この認証画面を出さないためには以下のような設定をします。
まず設定画面から「ロック・セキュリティ」をタップ。
「虹彩管理」をタップ。
「虹彩のファインダーを表示する」のチェックを外す。
これで気持ち悪い顔は見なくて済みます。
arrows NX F-02Hの虹彩認証の使用感と使用のコツ
さて実際にarrows NX F-02Hの虹彩認証を使ってみて気になった点などを下に記します。
虹彩管理で何度も登録するのがおススメ
使いはじめの頃、なんとなく虹彩認証されにくい気がしたので色々いじっていると、設定メニューの中に「虹彩認証の精度を向上」という項目があるのを発見しました。
設定メニューから「ロック・セキュリティ」をタップ。
「虹彩認証の精度を向上」をタップ。
すると認証を経て再度虹彩登録画面になります。
ここで虹彩を新たに登録しても、前に登録してある虹彩が削除されるわけではなく、虹彩データが追加されるだけなので、何度か登録してみるのがおススメです。
個人的には、視線の向きや周囲の環境など、依然と異なる状況でいくつかのバリエーションを登録すると認証精度が上がる気がします(正しいかどうかはわかりません)。
使えば使うほど認証精度は上がる
また、端末自体が認証を学習していくらしく、使えば使うほど認証精度は上がるようです。
ユーザーの方が使い慣れるのもあるとは思いますが、日々認証精度は上がっているので、色々なシチュエーションや角度で認証させることを積み重ねて行けば、もっと精度は上がっていくのではないかと思います。
眼鏡をかけての認証
私は普段眼鏡を着けていて、しかも度数が強いのですが、基本的に問題なく認証されます。
ただ、室内でも眼鏡に室内の灯りが映り込むような角度だと認証されません。赤外線LEDで虹彩を読み取ることが出来なくなってしまうからだと思います。
その場合、角度を変えるか眼鏡を外すかになりますが、ぶっちゃけ、他の認証方法(暗証番号など)に切り替えた方が素早いです。
暗闇での認証
例えば、就寝前のベッドの中で、室内の灯りを完全に消しているような場合も、まったく問題なく認証します。普通の室内での認証との差はほとんど感じません。赤外線LEDの力ですね。
明るい屋外での認証
これは角度にもよりますが、結構難しいです。特に私は眼鏡を着用しているので、眼鏡に日光が反射する場合も多く、二重の意味で屋外で虹彩認証を使うのは難しいようです。
往々にして端末と顔が近すぎる
使い始めの頃は、正直認証に手間取ります。もちろん、虹彩ファインダーを表示してそのガイドに従えば良いのでしょうが、先ほども述べた通り気持ち悪い…。ファインダーなしで認証に慣れたいので最初から外していました。
少し使っていて気づいたのですが、私の場合、往々にして端末と顔の距離が近すぎて、虹彩がうまくセンサーに映らない模様。コツとしては、一旦端末を顔の前に出した後、少しずつ顔から端末を離していくと認証されやすいようです。
慣れてくると、ジャストの距離に端末をかざせるようになります。
指紋認証との比較
2年前の機種F-01Fには指紋認証が搭載されていました。これはかなり役に立った愛用の機能です。
指紋認証のメリット
使い慣れているということもありますが、指紋認証ならではのメリットもあります。
画面を見ることなく認証できる
虹彩認証では画面を見ないと当然認証されませんが、指紋認証は端末を見る必要はありません。スマホを手に持った瞬間に認証させることも可能です。これは大きなメリット。
まわりの環境に影響されない
まわりが明るいとか暗いとか、室内か屋外かなど、全く関係ありません。
指紋センサーがロック解除スイッチを兼ねている
実はこれが最大のメリット。
F01-Fの指紋センサーは本体背面についており、慣れてくると本体を持った時自然とセンサーに指がいくようになります。
それだけでも大きなメリットですが、この指紋センサーがロックのON・OFFのスイッチになっているのが非常に便利。ロック解除したい時は、スイッチを押してから指をなぞるだけで解除され、ロックしたい時はスイッチを押すだけでロックされます。
つまり、ほぼワンアクションに近い感覚でロック解除が行えるということ。これは毎回使う上では非常に大きなメリットです。
また、F-01Fではこのスイッチがプライバシーモードの解除スイッチも兼ねていたので、プライバシーモードの解除もとてもスムーズだったのです。
これに対してarrows NX F-02Hでは、プライバシーモードの解除には、通知パネルの時計部分をなぞるというアクションをしてから虹彩認証するという流れになるので、少々手間に感じます。
これは、虹彩認証と指紋認証の比較自体の問題というよりも、端末の構造の問題ではあるのですが、虹彩認証が非接触の認証方式であるがために生じるものともいえます。
指紋認証のデメリット
指が濡れているとか手袋とか
手袋は当然ダメですが、指が少し湿っているだけでも認証されません。トイレから出た直後とかは使えませんね。
指を動かす角度がシビア
指紋登録する際の角度に近い角度で指をなぞらなければ認証されません。慣れてきても、ちょっとした角度の問題なのかわかりませんが、何度も何度も指紋センサーをゴシゴシやっていることは良くありますね。
指紋が薄くなったとき
とある作業(薬品を使った)をした後、指の表面がツルツルになり指紋が薄くなった感じがした時があったのですが、この時は非常に認証されづらくなりました。当たり前ですが、やはり指紋が薄くなると認識されにくくなるのですね。
虹彩認証も指紋認証も一長一短
こうやって見てくると、指紋認証というのはなかなか優れたシステムだということを感じます。物理的な接触が必要だという、一見デメリットになりそうな部分が、スイッチとの併用ということで大きなメリットになっていると思います。
ただ、特にアクションすることなく見つめた瞬間にロック解除される虹彩認証の気持ちよさは他には無いものです。購入してまだわずかしか経っていないので、もっと使っていくうちに虹彩精度がどんどん上がっていけば、より大きなメリットを感じていくだろうと思います。
まとめ
虹彩認証は先進的で便利ですが、指紋認証のメリットも捨てがたいと感じます。
本音を言えば、虹彩認証と指紋認証の両方を搭載してくれればパーフェクト。プライバシーモードと虹彩認証と指紋認証が全部入っている端末が発売されれば絶対買います、富士通さん。
でも高くなっちゃうか…。贅沢ですね。