45 For Trash

しごうするのか、されるのか。

「ニュース女子」の東京MXテレビ、DHCとの取引状況及び大株主の状況

東京都のローカルテレビ局東京メトロポリタンテレビジョン(以下、東京MXテレビ)が、1月2日に放送した番組「ニュース女子」で沖縄米軍北部訓練場、高江の米軍ヘリパッド建設に反対する市民を「テロリスト」に例えたり、「組織に雇われている」「大多数の人は米軍基地に反対とは聞かない」、あるいは反対運動の背景に外国人や外国政府が関与しているかのような印象報道を行ったことが問題になっています。

これについて、あまり報道されていない(気がする)部分、番組スポンサーであり番組制作会社であるDHCシアターの親会社でもある株式会社ディーエイチシー(以下、DHC)と東京MXテレビの取引状況、及び東京MXテレビの大株主の状況について簡単に記事にしておこうと思います。

f:id:shigo45:20170121161536j:plain Photo credit: Dick Thomas Johnson via Visual hunt / CC BY

前提

「ニュース女子」での放送内容や、これに対する批判、それに対する東京MXテレビや製作会社株式会社DHCシアターの反応等については、この記事では触れません。ご存知ない方は、下記のリンク等をご覧ください。

BuzzFeedの記事が比較的詳細です。

www.buzzfeed.com

www.buzzfeed.com

www.buzzfeed.com

沖縄二紙も反応。

www.okinawatimes.co.jp

ryukyushimpo.jp

出演辞退の意思表明をした津田さん。

www.huffingtonpost.jp

その他、あちこちで言及されているのでそちらでご覧ください。

東京MXテレビとDHCの取引状況

DHCへの販売実績

2016年3月期決算における販売実績

公開されている東京メトロポリタンテレビジョン株式会社(東京MXテレビ)の有価証券報告書では、2016年3月期決算における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、下記の通り報告されています。

相手先 金額 割合
㈱ディーエイチシー 2,359百万円 14.3%
㈱インターワールド 1,111百万円 6.7%
㈱電通 1,083百円 6.6%

東京メトロポリタンテレビジョン株式会社 - 生産、受注及び販売の状況 (情報・通信業) - 有価証券報告書を閲覧・検索するなら有報リーダーより抜粋

DHCとの取引実績は約23億6千万円、売上高全体に占める割合は14.3%、かなり高い比率ですね。

2番目のインターワールドはテレビ通販の会社、3番目の電通は言わずと知れた大手広告代理店で額が大きくなるのはわかるのですが、化粧品会社のDHCが飛びぬけて多額です。

2005年3月期から2016年3月期までの販売実績の推移

気になったので、過去の実績推移も見てみました。とりあえず簡単にアクセスできる情報だけですが、グラフにしてみます。

f:id:shigo45:20170121120942j:plain

ちょっと見にくいと思うので表も載せておきます。

■ 2005年3月期から2016年3月期までの東京MXテレビ売上高とDHCとの取引実績推移

決算期 総売上高(百万円) DHC実績(百万円) 売上占有比率 占有比率順位 DHCよりも上位の取引先
2005.3 6,924 1,350 19.5% 1位 なし
2006.3 6,773 1,165 17.2% 2位 ㈱博報堂DYメディアパートナーズ(18.7%)
2007.3 7,229 1,100 15.2% 2位 ㈱博報堂DYメディアパートナーズ(17.1%)
2008.3 7,543 1,170 15.5% 2位 ㈱博報堂DYメディアパートナーズ(19.0%)
2009.3 7,943 1,458 18.4% 1位 なし
2010.3 7,502 1,044 13.9% 1位 なし
2011.3 7,503 824 11.0% 2位 東京都(11.4%)
2012.3 9,368 1,803 19.2% 1位 なし
2013.3 12,106 2,636 21.8% 1位 なし
2014.3 12,695 1,592 12.5% 1位 なし
2015.3 15,755 3,303 21.0% 1位 なし
2016.3 16,470 2,359 14.3% 1位 なし

東京メトロポリタンテレビジョン株式会社 (情報・通信業) - 有価証券報告書を閲覧・検索するなら有報リーダーより抜粋・整理

こうやって見てみると、DHCが長年に渡る東京MXテレビの上得意先であることがわかります。広告代理店の博報堂や電通、テレビ通販会社のインターワールド、あるいは東京都が上得意なのは理解できますが、主な事業を化粧品製造販売とする一企業にこれだけの売上を頼っているのは驚きです。

2012年3月期決算からの実績額は大幅アップで、最も多い2013年3月期だと21.8%、一昨年の2015年3月期も21.0%と、総売上高の5分の1以上を占めている年もあります。DHCとの取引を失うと、東京MXの業績に大きな影響がある状況で、命運を左右するレベルにまで食い込んでいるとも言えますね。東京MXの総売上高が右肩上がりに増加しているのに、DHCの占有比率が下がらないのがすごい。

そして、今回問題となっている「ニュース女子」は、DHCが枠を買い取り、DHCシアターというDHCの子会社が番組制作をしています。つまるところ、この番組はDHCの所有物そのもの、といったところでしょうか。

ちなみにDHCシアターの社長は昨年こんなことも言ってたそうで。

news.livedoor.com

で、DHCの社長はというと会社HPの会社案内のページに掲載しているメッセージに明らかで妄想的なヘイトスピーチを展開しています。

本物、偽物、似非ものを語るとき在日の問題は避けて通れません。
 ~(中略)~
似非日本人はいりません。母国に帰っていただきましょう。

会社案内|株式会社ディーエイチシー →会長「メッセージ」(PDF)より引用

該当部分を引用しようと思いましたが、あんまりな内容なので、(中略)を入れました。またPDFファイルへの直接リンクははっていません。読みたい方は該当ページからリンクを辿ってご覧ください(読まなくていいです)。

東京MXテレビの大株主の状況

2016年3月期における大株主の状況は下記の通りです。

氏名又は名称 所有株式数(株) 発行済株式総数に対する所有株式数の割合(%)
株式会社エフエム東京 70,250 20.07
株式会社中日新聞社 21,950 6.27
東京都 12,300 3.51
鹿島建設株式会社 12,300 3.51
凸版印刷株式会社 12,300 3.51
株式会社東京ドーム 12,300 3.51
東映株式会社 12,300 3.51
日本電気株式会社 12,300 3.51
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 10,350 2.96
株式会社KADOKAWA 7,500 2.14
183,850 52.53

東京メトロポリタンテレビジョン株式会社 - 大株主の状況 (情報・通信業) - 有価証券報告書を閲覧・検索するなら有報リーダーより抜粋

筆頭株主は株式会社エフエム東京ですが、東京都も株主、また中日新聞社が大株主なのも目を引きます。

中日新聞社と言えば、政権に批判的な記事もある東京新聞・中日新聞を発行していて叩きたくてウズウズしている人たちも沢山いるみたいなのですが、「ニュース女子」みたいな番組を流すテレビ局の大株主でもあるんですね。と思ったら、「ニュース女子」の司会者は東京・中日新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏なんですね。

ちなみに東京新聞はこの番組が「沖縄ヘイト」だと言っていますが…。*1

いずれにせよ、放送・報道の自由の観点からすれば、大株主やら経営トップやらが、報道内容に細かく口出すべきではないのも確かなのですが、かといってこの番組のようなものを流しておいて、大株主は完全に無関係な顔ができるとも思えませんけどね。いくら所有と経営の分離とか言っても。

FM東京、中日新聞、東京都のみならず、大株主として出資しているこれらの企業にコメントを求めたいところですね。

金さえ出せばテレビを自由にできるのか

今回は資料をちょっとみて整理しておこうというつもりの記事ですが、最後に簡単にだけ。

結局のところ、東京MXテレビは大スポンサーであるDHCに金で買われてるから、言われるがままその子会社が作ったデマやヘイトを垂れ流させるしかない、ということなんでしょう。しかし局が制作会社の番組に何のチェックも入れられず流すしかないなら、放送局はただ金で電波の切り売りを仲介しているだけということなんでしょうか。「金さえ頂ければどう使ってもらってもいいですよ」と。

まあ、この話に限らず、所詮はなんだって金で買えるし、実際そうやって世の中動いてるんだろ、と言う声も聞こえてきそうですし、実際それは事実の一側面ではあります。

しかし、放送局は有限な国民の財産である電波を使用しているため、放送法4条の義務を負っています。

【放送法】
第四条  放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
 一  公安及び善良な風俗を害しないこと。
 二  政治的に公平であること。
 三  報道は事実をまげないですること。
 四  意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

この規定は、放送法1条や憲法21条との関係に鑑みれば倫理規定であり、少なくとも権力的に義務を強制できるものとは考えられない、というのが私の立場*2ですが、かといって義務を負っていないとは言えません。しかも、報道の公平・中立性等の問題だけでなく、「ニュース女子」はヘイトスピーチを垂れ流したと言ってもよいようなものです。権力の介入を許さず、自主的な解決が必要です。

これに関して、まずはBPOによる審議を経て正していくことが望ましいとは思います。人権侵害の申立も既に行われており、BPOも独自に東京MXに報告を求めることを決めたようです。

headlines.yahoo.co.jp

ただし、BPOがどこまで効果的に機能するかについてあまり期待はできません*3

だとすれば、このようなデマ報道やヘイト番組については、視聴者や消費者の立場から声を挙げていくしかありませんデマやヘイトを平気で流すジャーナリスト・文化人を名乗る人々や、資力を背景に偏った私見を放送を使って流そうとする人々、企業、金の力に屈服して使命を投げすてる放送局、その放送局に出資して配当を受けている企業、それぞれについて、我々は関心を持ち続け、抗議する言論を行い、不買等、正当に認められた手段をもってこれらに対抗するしか方法はないのです。

本当は相手にもしたくない低レベルな放送、言論であっても、反論を怠っていたら世の中はそちらに引きずられていくのです。

※後日こんな記事も書きました。

www.shigo45.com

※また以前、ヘイトスピーチと表現の自由に関する記事を書きました(ヘイトスピーチ対策法成立前の記事です)。参考までに。

彼らを退場させるのは、これら自由な言論の集合体によってである。自由の敵にも自由を認めた上で、自由を存分に行使して闘って勝たなければならない。一方、公権力の直接の介入を求めれば、最終的に退場させられるのが誰になるのかについて保証はないのである。

www.shigo45.com


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*1:2017.1.7付東京新聞 新聞画像の転載は問題があるでしょうし、デジタル版は見つからなかったのでリンクはありません。

*2:

www.shigo45.com

*3:東京MXは民放連に加盟しているのでBPOの対象となりますが、DHCシアターは直接の対象にはなりません。とはいえ、東京MX自体の責任を問題にすることがまずは第一だと個人的には思います。

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