こんにちは。しごうです。最近、アムウェイに関連する記事や言及を見る機会が多いのですが、なぜでしょう。脈々と流行り続けてるんでしょうか。
アムウェイの他にもネットワークビジネスとかマルチ商法とか言われるものが世の中には山ほどあって、その勧誘からフリーでいられる人は少ないと思います。特に若い頃はそうなんじゃないかな。
ただ、私は若い頃は極度のキッパリ野郎かつ人間関係無視男だったので、ちょっとしたアプローチも秒殺し、勧誘してきた人間を遠い彼方へぶん投げていたので、しつこくされたことはありません。
一方、私を勧誘してこないなら別にその人がマルチをやっていようとなんだろうと放置なので、アムウェイをやってる友人もいました。あるいはアムウェイから勧誘を受けた友人の相談に乗ることも。
Photo credit: Internet Archive Book Images via VisualHunt.com / No known copyright restrictions
アムウェイはやらないと言った友人の言葉
随分と昔の話ですが、辛い状況にある友人とよく電話で話している時期がありました。その頃の彼は、非常に良い転職先が見つかった矢先に病気が発覚して転職話はなくなり、治療のために勤務先を休職。辛い闘病の中で奥さんから一方的に離婚され、すっかり元気をなくしていました。その傷心と将来の不安の中、私のような人間相手でも話すことで少しは楽になったのでしょうか、ほぼ毎晩のように電話がかかってきて長話をしたものです。遠方に住んでいたので会うのは年2回程度、電話だってそれまでは年に数回しかしてなかったのですけどね。
少し前向きになってきて、新たな転職を考えてみる、あるいは独立を考えるなどの話が多くなってきた頃、彼が「この間、Aに誘われてアムウェイの話を聞いて来た」と言い出します。Aは親しくはないものの私も知っている知人です。
私はそれ以前に自分で考え、自分はそんなものやらない、と決めていたのですが、頭ごなしに否定するのはやめて、彼の話を聞きました。
彼は「想像していたほど怪しくはないと感じた」「お金は欲しいから確かに魅力は感じる」「商品の中には良さそうなものがある」などと話しています。一方で、「でも何故か踏み出せない気持ちがある」「何かが引っかかってる」とも言います。
私は、少しだけ「やるとしたら誰を勧誘すんの?」「どういう気持ちで勧誘する?」ぐらいの質問はしますが、あまり自分の考えは伝えませんでした。言いたいことを言いたいように言っていた当時の私としては珍しいことでしたが、その時はそうすべきだと思いました。私の質問に彼は何か真剣に考えています。
彼には、アムウェイを始める手続をするのは、必ず私にそう宣言してからにする、という約束だけさせました。
その後数日はアムウェイの話題が出ないまま過ぎましたが、しばらくして彼が「俺はアムウェイはやらない」と言いました。「どうして?」と聞くと、
「オヤジを勧誘する気になれないから」
という答えが返ってきました。
彼の家は父子家庭です。お母さんは子供の頃に他界し、お父さんが子供3人を育ててきました。彼が不器用ながらもお父さんのことをいつも気遣っていることは知っていました。
「やっぱりさ、誰かを会員にしようって勧誘するとき、こいつらから俺に利益が入るから、って気持ちがあるわけじゃん。」
「うん。」
「もちろん、友だちとか知り合いとか、つき合いの濃さは色々あるけど、やっぱりその人たちのことを『金』として見てんのかなあ、って微妙な気持ちだったわけよ。」
「うん。」
「だから、極端な話、自分のオヤジを勧誘できるかって考えてみたら、それは俺には出来ないなあってね。」
「うん。」
「アムウェイいいよ、いいよ、ってオヤジを誘って、オヤジに商品買わせたり売らせたりして、そこから利益取れるかっての。」
「うん。」
「で、俺にとっての大事さは違いがあるとしても、結局俺なんかが会員誘うのって、全く知らねえ奴じゃなくて自分の人間関係の中からじゃん。」
「うん。」
「じゃあ、本音は金のためにそいつら利用して踏み台にしようとかって、人間関係食い潰すだけだなって思ったわけ。」
「お前、すげえな。」
その後、少しだけ自分の考えを話しましたが、彼に全て言われた気がしていました。まだ辛い状況の真っただ中にある彼が、ここまで考えたことに感心しただけでなく、やっぱりこいつは信用出来る奴だな、と思ったことを思い出します。
余談ですが、彼はその後新しい家庭を築き、仕事も順風満帆です。
ネットワークビジネス・マルチ商法を見た
アムウェイに限らず、ネットワークビジネス・マルチ商法はなかなか無くなりませんね。私はウオッチャーではないし、詳しく調べたわけではありませんが、身近にかかわっている人を結構見かけます。いくつか私が外から見たネットワークビジネスの様子を挙げてみます*1。
ハイテンションな集団
かつて働いていた会社がとある超高層ビルに入っていたのですが、とある日曜日(祝日かも)に、ビルにもの凄い数の人間が吸い込まれていくところを見かけました。見ると老若男女、しかもあらゆる人種の人がいます。みんなハイテンションで尋常ならざる気配を感じます。宗教かな…ちがうかな… 好奇心に勝てず一人を呼び止めて尋ねてみました。
「これは何の集まりなんですか?」
「これは〇〇というネットワークビジネスをやっている人たちです。今日世界大会*2が東京ドーム*3であって、その後本社を見たい人達が見学に向かっているんです。」
とニコニコと答えてくれました。
このビルに〇〇が入っているのは知っていました。それから、このビルの1階にある書店には、この〇〇の書籍の特設コーナーがあります。かなりの面積です。しかも、そこで本を手にしている人が常に数名いるという状況。初めてこの書店に入った時、当時関心のあったネットワーク系(ITの方)の本を探していてこのコーナーに立ち止まった時は、正直「くっそ!何がネットワークだ!」と思いましたよ。
このお祭り騒ぎの日はこのコーナーが大混雑、レジも大行列でした。書店としてはウハウハなんでしょうが…。
仲の良かった先輩夫婦
かつてとても仲良くしてくれた先輩夫婦。家にも何度も遊びに行って徹夜で騒いで雑魚寝したり、生まれたばかりの娘さんをあやしたりして楽しい思い出がたくさんあります。
お互いに忙しくなってあまり会わなくなりました。しばらくして、先輩が転職したもののそちらが不調であること、さらに夫婦二人で△△というネットワークビジネスを始めたことを噂で知りました。
ある日、この先輩から電話がかかります。いつになくハイテンションです。
「しごうさー、今度久しぶりに会おうよ。」
「うん、会いたい。でもそこで△△の話ってするの?」
「え?う、うん、まあ。その話ばっかりじゃないけどさあ。それに△△ってのはさあ…」
「△△の話をするなら会わない。△△の話なら電話でも話さない。」
きっぱり言いました。先輩はきまり悪そうに何か言っていましたが、結局、会う約束もせずに電話は切れました。その後向こうから連絡も来ないし、私からも連絡は取っていません。
先輩は、△△の話をしないという約束をするぐらいなら私に会いたくなくなったのでしょうか。それとも決まりが悪くて連絡しにくくなったのでしょうか。
先輩はその後勤めていた会社を辞めたそうです。しばらくは元気だったそうですが、その後は誰とも音信不通です。
わかっていて飛び込む彼女
つき合っていた彼女と別れ、しばらくしてその彼女が□□というネットワークビジネスを始めたことを知りました。ネットワークビジネスと言われるものの中でもあまり評判が良くないものでした。ただ、別れたことには私に責任があり、彼女に何か言える立場ではなかったですし、そもそもこちらからの連絡は一切していませんでした。
ある日、彼女から電話がかかってきました。彼女の話を聞いたあと、さりげなく「□□やってるんだって?」と聞きました。
「ああ、商品にいいのがあって自分が欲しくて…。しごうがそういうの嫌いなのは知ってるよ。でも、今は誰のことも信用してないの…。」
彼女はわかっている上でやっていたのでした。人間不信の原因は私です。私は何も言えませんでした。しばらくして彼女は□□をやめ、紆余曲折を経て結婚しました。
ネットワークビジネスへの感想
ネットワークビジネス・マルチ商法、特定商取引法で言えば「連鎖販売取引」。ネズミ講に酷似した構造ですが、厳格な要件を満たした時に限り違法ではありません*4。
適法要件を満たしていれば、それそのものは批判されるべきではないかも知れません。ビジネスとはそういうものなのでしょう。
ただ、ネットワークビジネスはさびしさと隣り合わせ、それが私の感想です。